日中平和友好条約締結45周年記念レセプションの開催

令和5年11月30日
 11月30日、当館は、花園酒店において、日中平和友好条約締結45周年記念レセプションを開催しました。
 

 今次レセプションでは、主賓として、張雅潔・広州市政協副主席、銭紅潔・広東省人民政府外事弁公室副主任、雷瑋琚・広州市人民政府外事弁公室副主任をお迎えし、また、広東省、福建省、海南省、広西チワン族自治区の政府、企業、文化・教育界の皆様、在留邦人の方々の御出席をいただきました。御出席の方々には、ビール、日本酒、カルピス、握り寿司、すき焼きといった日本の食を楽しんでいただくとともに、茶道裏千家による立礼式の呈茶を通して日本の伝統文化を御体験いただきました。また、式典の際には、日本側出席者は広東省の白酒である「飛霞液」で、中国側出席者は日本酒で乾杯しました。なお、会場では、日中平和友好条約締結以降における日本と華南地域の交流の歴史を振り返るスライドショーを投影しました。
 

 
 貴島総領事は挨拶の中で、今年は日中平和友好条約締結45周年であると同時に改革開放45周年であることを指摘し、また、2000年以上にわたる日中交流の歴史を回顧しつつ、両国の交流を継続・活性化することの重要性を強調し、総領事館として経済・人文交流事業を推進していく決意を表明しました。
  
 貴島総領事による挨拶全文は以下のとおりです。
 
ご来場の皆様
 
 本日は日中平和友好条約締結45周年記念レセプションにご参加いただき、誠にありがとうございます。
 
 本年、日中平和友好条約締結45周年と中国の改革開放45周年を迎えたことは、偶然の一致ではありません。1978年8月12日、日中両国は北京においてこの条約を締結しました。そして、10月には改革開放の総設計士である鄧小平氏が日本を訪問し、日本の代表的な企業を視察し、松下幸之助氏らと会見を行ったことがきっかけとなり、製造業をはじめとする数多の日系企業が中国に進出することとなりました。改革開放政策とこの条約こそが、日中間の貿易投資と人文交流を推進するための枠組みを提供したのです。
 
 今や進出日本企業は広東のみにおいても1400社を超えます。この華南を中国の経済を牽引する一大製造業集積地に発展させていく上で、日本企業もパートナーの中国企業とともにともに汗を流し成果を積み重ねてきた、という歴史は、日本人にとっても誇りであり、喜びであります。その思いをこめて、45周年をともにお祝いしたいと思います。
 
 さて、本日は私が在広州日本国総領事として赴任して始めて開催させていただくレセプションになりますので、日本と中国および華南との関係についても一言お話しさせてください。
 
 日本と中国は2000年以上にわたって交流を行ってきました。仏教のみならずお茶や書など日本文化の源をもたらした人物として、誰もが知る鑑真和上、弘法大師(空海)、隠元禅師は、実はいずれも華南の地に足跡を残しています。広東出身で近代中国史において大きな役割を果たした康有為(こうようい)、梁啓超(りょうけいちょう)、黄遵憲(こうじゅんけん)、さらには「革命の父」孫文は、皆、日本と浅からぬ縁を持っています。このように、言語や考えの違いを超えて、交流は互いに、新しい知恵や技術をもたらし、インスピレーションを与え、協力へのモチベーションを生み出してきたのです。古くから海外に飛躍し、また、改革開放の成果を体現してこられた華南の人々にとってみれば、言わずもがなだと思いますが、発展は国際交流と不可分です。
 
 国が異なるが故に、交流するほど摩擦や対立も発生することは、否定しません。しかし、その利害対立を乗り越え、むしろ、長所を活かし合って協力した時、その交流は成果を生み、かつ、友情をもたらしてきました。さらに、一つの成功は成功を求める人々をさらに引きつけ、友情の喜びを与える交流はさらに参加希望者を呼び込みます。
 
 国と国の関係も所詮は人が作り出すものです。政府が「友好」という言葉を使えば友好になるものではありません。日中ビジネスに携わってきた方、青少年交流に参加してきた方なら、国が違えば考えも違うことを認め、自分の主張を相手が然りと言わないからと言って、非友好的だ、などと決めつける必要はないことを知っています。その体験をした人が増えれば、負のスパイラルも正のスパイラルに変えられるはずです。
 
 日中関係が友好的でない、と言う人が増えてきた今だからこそ、私は日中交流を継続・活性化することの重要性を強調したいと思います。そして、総領事館として、意識して、華南各地の政府や団体ともよく意思疎通し、日中間の経済・人文交流事業を推進していく所存です。
 
 2000年にわたる交流の歴史は私たちの基礎であり、私たちの努力の一つずつが日中の未来を形作る礎です。本日、ご参会いただいた皆様とこの思いを共有し、私の挨拶とさせていただきます。
 
 ありがとうございます。


【御協力いただいた日系企業/団体】(順不同)
アサヒビール(中国)投資有限公司様、株式会社フンドーダイ様、キッコーマン株式会社様、麒麟ビール有限公司様、宝酒造食品有限公司様、ホテル・ニッコー広州様
 
【御協力いただいたその他団体】
茶道裏千家広州出張所様